又造・父と子の性と罪－外伝「失踪の森」

『失踪の森』に登場した謎の男・又造の秘められた過去と壮絶な性の遍歴を描くスピンオフ。屈強な肉体を持ったがゆえ、三世代に渡る父子が逃れられなかった過酷な運命とは？

＊本作は、拙著『失踪の森（前編）－捜査一課・田所警部の憂鬱－』および『失踪の森（後編）－捜査一課・田所警部の覚醒－』のスピンオフとして、登場する一人の男の前日譚を描いたものです。単独でももちろんのこと、本作を読んでから前作、逆に前作を読んでから本作を読んでも違った楽しみ方が可能です。

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【目次】

序
1．父親の性
2．漁師の自慰
3．養父の股間
4．神聖なる儀式
5．体液授受
6．息子と罪
7．なれの果て
結

【あらすじ】

「男だけの修行の場、九州の山奥にある男王寺奥ノ院。そこで下男として働く一人の男、又造を覚えているだろうか。白い越中褌をまとっただけの、たくましい、毛深い裸体で、薪割りをするまるで獣のような粗野な男」

謎の男、又造は、紀伊山地の辺境の村に生まれた。性に奔放な父・与一と、男二人所帯の淫靡で奇妙な生活。やがてわけあって、漁師町に暮らす、子のない叔母夫婦のもとに養子に出されることに。漁師の養父・岩雄の働き手として、そしてもう一つの理由は、寺で行われる由緒ある性の儀式に参加させるためであった。

国枝という一人の漁師の男と出会い、まもなく結婚して一人息子・達治をもうけることになるが……。

与一、又造、達治へと三世代に渡って受け継がれた野生的で屈強な肉体、呪われた淫蕩の血は、その後、彼らを過酷な運命に導き、奈落の底に突き落とすことになるのだった。

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■新作書き下ろし
■総文字数：約46000字